Little Japanの起業を決めるまでにはいくつかの原体験がありました。
空き「家」をのリノベーションにこだわった理由
今回Little Japanを始めるのにあたり「家」を使うことにこだわりました。
また、別で詳しく書きたいと思っていますが、もともと住居だった物件を、不特定多数の人が利用する特殊建築物に用途変更をするのは、大変な手間とコストがかかりますが、それでもこだわりました。
空き家に興味を持ったきっかけは、自分の実家で曽祖父のやっていた「柚木鉄工所」の土地や建物について、大人たちが話をしているのを聞いた時でした。
鉄工所に家も併設されており、私の育った兵庫県神戸市から、ここまでは車で2,3時間かかるのですが、曾祖父母、祖父母に会いに子供のころはよく行っていたように思います。
柚木鉄工所外観
当時、私はこの場所に行くのがあまり好きではありませんでした。
理由は、いくつかありますがが、この広い場所、錆びた機械がたくさんあるのが単純に怖かったように記憶しています。
そして、ぼっとん便所、これが一番怖かったです。
落ちたらどうしよう、といつも不安でした。
好きだったのは五右衛門風呂を焚くことでした。
でも入るのはやはり怖かったです。
体を洗うところから下に落ちないか、いつも不安でした。
そんな中で、この土地や建物、機械をこれから、どうしていこうかという話を聞く機会がありました。処分するだけでもすごく費用がかかってしまいます。
柚木鉄工所内のトラック
時代とともに価値は変わる
その時、誰が言っていたかは覚えていないのですが、とても印象に残っている言葉があります。
「曽祖父は、これだけのモノを残した、と思っているだろう。大きな家、そして、ここにある機械は、当時はすごく価値のあったもの。曽祖父が築き上げてきた資産だった。鉄だけでもすごく価値があった。ただ、今は、これは処分するのにたくさんの費用がかかるものになってしまっている」
正確ではありませんが、このようなことを聞いたように記憶しています。
確かに、その後も、一時期ですが、鉄が値上がりしている時に、この処分に費用はかからず、むしろ買い取っていただける時期もありました。
屋根の崩れた柚木鉄工所の内部の様子
資産が負債に。不動産が負動産に。
利用したい人がいての、資産です。
利用したい人がいないモノ、それは負債になってしまいます。
家は、利用をしていないと痛んでしまい、利用できなくなってしまうということ。モノも生きている、利用していないと急に痛んでしまい、取り返しがつかないことになってしまいます。
まだ、利用ができるうちに、その時の時代に合わせて、カタチを変えて利用していくことが必要だと思っています。
日本全国で、8戸に一つは空き家
現在、日本には820万戸の空き家があります。
ざっと8戸に一つが空き家となっています。
人口が減っていっているにもかかわらず、新築の物件が建てられ続け、家の数は今も増え続けています。
一方で、古い物件が利用もされず、取り壊しもされず放置されています。
このままにしておくと、利用ができない負債になる物件が今も、これからも日本中にできてしまいます。
空き家問題は東京にいる人にも無関係な話ではない
東京の空き家率も、10%は超えています。
これには、不動産への投資といった面もあります。
ただ、実際に、自分自身で、家や事務所等を探すために様々な不動産屋さんより紹介を受けた結果、予想以上に空いている物件が多いことがわかりました。
特に私が見た、日本橋エリア、浅草橋エリアでも、すごく好立地の物件でも空き物件がごろごろとあり、自分のやっている周辺でも、隣も隣も隣も実は空いている、、というような事実を目の当たりにしました。
また、一見東京にいる人には関係のない話のようですが、「自分の実家」、「自分の祖父母の家」、、、で自分が将来引き継ぐかもしれないものを考えていくと、どこかの地方から東京に出て来た人には、これからどうなるのかわからない(今は使われていても)家や土地の心当たりがあるのではないでしょうか。